大規模修繕

マンション大規模修繕で大切なこと!!


 マンション住まいの方、及び管理組合の役員さんが修繕費用を見積るとき役立つ情報です。
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大規模修繕

 大規模修繕とは、「劣化」がマンション全面に広がり、元の状態又は実用上支障ない状態まで性能・機能を回復させることです。

1.建築基準法大規模修繕定義


建築基準法では、建築物の主要部(屋根、壁、柱、梁、床、階段)の1種以上について行う過半の修繕をいいます。 (建築基準法 第2条14項)
また、建築物の主要部の1種以上について行う過半の模様替をいいます。(建築基準法 第2条15項)

 ※ ただし、一般的なマンションの大規模修繕工事は、上記の主要部に触れない場合、
   さらに、増改築、用途変更などを伴わない限り建築確認申請は、必要ありません。

2.「劣化」は、3種類あります。


 劣化には、次の3種類あります。

   劣化 ━┳━ 物理的劣化
       ┣━ 機能的劣化
       ┗━ 社会的劣化 

 分譲マンションについては、自然界の影響による「物理的劣化」が経年の変化として発生します。
さらに「機能的劣化」及び「社会的劣化」2つが大規模修繕に含められています。
 「機能的劣化」とは、冷暖房機器などが技術的進歩に遅れることです。
また、消防設備や耐震性能、バリヤフリー新法などの規制で既存建物が不適合になる、という劣化です。
 「社会的劣化」とは、IT化の遅れ、マンションの外観が周囲との調和がとれない程古くなってきた場合などをいいます。
 機能的・社会的劣化は、全面に広がらない場合、大規模ではなくなります。
したがって、社会的・機能的劣化は、修繕工事で対応することが困難である、と思われています。

3.大規模修繕委員会


 では、このうち「物理的劣化」を、「誰が」知ることができるのでしょうか?
 一人目は、マンションの大規模修繕専門委員会の人たちです。
この人たちは、主に次の重要な役割を委任されている場合があります。
  (1)新築〜10年以内における住宅瑕疵担保履行法の瑕疵担保責任のための建物点検
  (2)品確法の保障期間10年以内に修理箇所を見つける役割
また、建物の設計図書、登記関係書類、修繕履歴台帳、長期修繕計画書を理解できる人たちです。
さらに、建物の調査・診断を行うことができる人々です。

 二人目は、管理員または管理会社の人です。
この人たちは、「業務委託」で「劣化」の目視点検を実施するように契約していない場合が普通です。
最近、建物の調査診断が業務委託契約と別契約でなされるため、委託契約に調査・診断を含める場合があります。
このように、管理会社が管理組合から劣化調査を別途委託されることになっています。

 三人目は、建物診断を「管理組合」から依頼された建築士などの専門家です。
この人は、調査・診断の報告書をまとめて管理組合に提出します。

 以上のように、「管理組合」が主体となり、主に大規模修繕専門委員会が大規模修繕を行っていきます。
まとめると、次のようになります。

  管理組合  ━┳━ 大規模修繕専門委員会 (劣化点検、調査診断)
         ┣━ 管理会社 (点検業務受託、長期修繕計画の作成・見直し)
         ┗━ 専門家 (調査・診断の結果報告)


4.大規模修繕進め方


  管理組合から依頼されると、上記 3.で説明した人たちが総会の決議を経て、作業を開始します。
一定年数の経過ごとの大規模修繕費用の取り崩しには、総会の決議が必要です(標準管理規約第48条)。
  一方、工事の実施方式は、工事監理方式、施工方式などの種類があります。

工事の施工方式をまとめました。

方式  ━┳━ 設計監理方式 (設計と施工会社を分離し、工事監理が独立するため、安心できる方式です。)
     ┣━ 責任施工方式 (施工会社に一括発注、専門的チェックがないため、割高・安易な施工になりがちです。)
     ┗━ 管理会社主導方式 (管理会社が主導し、上記と同様に第三者のチェックがありません。)

 総会においては、居住者の「要望」を傾聴することが必要です。
 さらに、作業の途中で「アンケート」を住民に対して行い、具体的「要望」を吸い上げ、改修工事に生かすことが大切です。
工事終了後、住民に満足感があふれるからです。
  さて、点検する人は、具体的に「何を見て」どこの「劣化」を調査・診断するのでしょうか? 
次に示した「修繕項目」を見て「劣化」した建物・設備の部位を知り、修繕周期を決めることができます。
長期修繕計画は、25年〜30年間の修繕計画のため、耐用年数36年の部材を除き、ほとんどの建築部位が含まれています。
見直しは、5年ごとに行われ、経年による劣化診断を行います。
その際、工事費用を節約するため同時期に改修する部位を「集約」します。

  (1) 修繕項目と集約するための「周期(年)」

      項目名     ( 例 )                  ( 周期 年 )
    1) 屋根防水     (屋根の葺き替え、防水)           (12〜18)
    2) 外壁等      (躯体、タイル、塗装、シーリング)      (12〜18)
    3) 床防水等     (開放廊下・階段、バルコニーの床)      (12〜18)
    4) 鉄部等      (手すり、扉、鉄骨階段)           (4〜6)
    5) 建具・金物等   (玄関扉、窓サッシ、郵便受け)        (24〜36)
    6) 共用内部等    (管理員室、エントランスホールの内装)    (12〜18)
    7) 給水設備     (給水管、受水槽、給水ポンプなど)      (18〜24)
    8) 排水設備     (雑排水管、雨水管、汚水管、枡)       (18〜24)
    9) ガス設備等    (ガス管)                  (12〜36)
   10) 空調・換気設備等 (換気扇、ダクト)              (12〜36)
   11) 電気設備等    (電灯、電気幹線、避雷針)          (24〜32)
   12) 情報・通信設備等 (電話、テレビ共聴、インターネット設備)   (12〜32)
   13) 消防設備     (自動火災報知機、消火栓、連結送水管)    (18〜24)
   14) 昇降機設備    (駆動装置、かご)              (24〜32)
   15) 立体駐車場設備  (自走式・機械式構造体と駆動装置)      (5〜10)
   16) 外構・付属設備  (フェンス、駐車場、自転車置き場、ゴミ置場) (24〜36)
   17) 診断・設計・監理費用 (調査・診断、設計、工事監理の費用)    (10〜12)
   18) 長期修繕計画作成費(作成、見直し)               (5〜10)

 専門家は、「どのようにして」「劣化」を詳細に知ることができたのでしょうか?

  (2) 調査・診断

 外壁タイルの劣化症状について、9項目程の症状を確認できます。
  1)剥落(はくらく)
     タイルが剥げ落ち場合、1枚に注目し、その周辺に注意して点検目視と打診します(テストハンマー法)。
  2)欠損
     タイルの部分的欠損、原因は、凍結、熱膨張、物の衝突による剥落です。
  3)白華現象(エフロレッセンス)
     コンクリート中の水分や雨水と空気中の炭酸ガスが反応し、白色の粉状が表面に現れます。
  4)ひび割れ(クラック)
     躯体コンクリートのひび割れ、又は仕上げ面の収縮が原因です。
     0.2mm以下のひび割れは「許容範囲」
     0.2〜1.0mmは可とう性エポキシ樹脂の低圧注入、1.0mm超はシーリング材を使用して対応します。
  5)錆び水の付着
     錆び水が手すり、鉄骨コンクリートに付着、又は、鉄筋の錆びの場合、建物の耐久性が低下します。
  6)浮き
     タイル・モルタル層の接着が劣化したものです。部分的に分離したもので、分離剥離とも言われます。
  7)ふくれ
     タイル張り層、仕上げモルタル層が膨れ凸状になり、肉眼で確認できるようになったものです。
  8)タイル目地の汚れ
     大気の汚染物の付着、漏水の前兆です。
  9)タイル面の濡れ
     雨がやんだ後、数日間部分的に生じる水濡れ防水部位の劣化現象です。

 また鉄筋コンクリートの劣化症状について、11項目の症状を確認できます。
  1)剥落(はくらく) 上記ですでに説明しました。
     タイルが剥げ落ちます。1枚に注目し、その周辺に注意して点検し、目視と打診を行います(テストハンマー法)。
  2)錆び鉄筋露出
     コンクリートの表面に鉄筋が露出、原因は、新築時のかぶり厚さ不足、形状は、1)点状、2)線状、3)網目状
  3)白華現象 (エフロレッセンス) 上記ですでに説明しました。
     コンクリート中の水分や雨水と空気中の炭酸ガスが反応し、白色の粉状に表面に出てきたものです。
  4)ひび割れ (クラック)
     躯体コンクリートのひび割れ、又は仕上げ面の収縮が原因です。
    @コンクリートの「ブリージング」
      コンクリート打設後、コンクリートが沈下し、水が浮き出るこの水の移動により水平鉄筋の部材断面が変化します。
      その部分の上面に規則的に直線状のひび割れが発生します。
    Aアルカリ骨髄反応
      不規則な亀甲状(きっこうじょう)のひび割れが発生します。
    B建物の「不同沈下」によりひび割れが発生します。
  5)錆び汚れ
      赤錆がコンクリート割れ目から表面に出ます。原因は、コンクリートの中性化が含まれます。
  6)ポップアウト
      鉄筋の腐食が原因となり膨張し、コンクリートを破壊し、コンクリートの表面に円錐形のくぼみ状に破壊ができます。
  7)浮き
      モルタル層の接着が劣化し、部分的に分離したもので、分離剥離とも言います。
  8)ふくれ
      @タイル張り層、仕上げモルタル層が膨れ凸状になります。A躯体コンクリートの中で鉄筋のかぶりが浮き発生します。
  9)表面の脆弱化
      @凍結、摩擦などによりコンクリートが劣化、A表面に粉状に発生します。
  10)表面の漏水跡
      雨がやんだ後、数日間部分的に水濡れ、エフロレッセンスを伴うことがあり、専門家による目視検査・問診が必要です。
  11)異常体感
      @床のたわみ、A目視だけでは困難、専門家による問診などが必要です。

  更に、専門業者の専門機器により「劣化調査と試験」を行い測定結果の精度を高めることが出来ます。
 防水については、シーリングの劣化症状をひび割れ・塗膜表面のチョーキング・変色などを見ることで診断できます。
 また、冬季の結露・断熱の問題が劣化したサッシの修繕、屋根の改修で解決する場合があるため、業者に相談できます。
 照明設備の照度の劣化もチェック範囲です。最近、LED照明が開発され、耐用年数が飛躍的に伸びました。

  (3) 仕上材・工法の設定例
     仕上材・工法が修繕時期で変更される場合があります。
    ホームページで説明しましたように、例えば、屋根の「保護アスファルト防水」から「塗装防水」へ
    また、バルコニー床を「モルタル塗り」から「ビニール床シート・タイル張り」へ変更できます。

    ここでは、主な工法・材料を説明しましたので参考に願います。

     1)外壁の改修工法
        @Uカットシール材充てん工法 (ひび割れが小さい場合、可とう性エポキシ樹脂をシール材とします。)
        A浸透性の吸収防止剤を塗布し、水・塩化物イオンの浸透を抑制する工法 
        B塗膜剥離剤工法 (有機系の塗膜に限定して採用する工法です。)
     2)防水材料・工法
       面的防水 : メンブレン防水  
          <1> アスファルト防水
             @熱工法 (ドラム缶に入れたアスファルトを火で加熱・溶かし、厚さ約10mmで広げます。)
             Aトーチ工法 (トーチバーナーで加熱しながら張付けるため、気温に左右されにくい工法です。)
             B複合工法
          <2>シート防水工法
             @塩化ビニル系樹脂シート防水工法 (塩ビゴムシートで継目の処理に接着剤を使用します。)
             A合成ゴム系シート防水工法
          <3>塗膜防水工法
             @ウレタン系塗膜防水工法
       線的防水 : シーリング防水  (注意:マスキングテープは、へら仕上後直ちに除去します。)
          <1> ウレタン系シーリング材 (安いので標準的に多用されています。)
          <2> ポリサルファイド系シーリング材 (<1>より耐候性・伸縮性が良い、しかし、鉛が含まれています。)
          <3> 変成シリコーン系シーリング材 (ポリサルファイド系と同程度の性能があります。)
          <4> シリコーン系シーリング材 (耐熱性を持ち、主として外部のガラス回りに使用されています。)

  (4) 修繕積立金のチェック
  前半で説明しましたように、集約する理由は、仮設工事を必要とする修繕をまとめると、仮設費用が節約できるからです。
 集約し過ぎると、費用が予算を超える場合があるので、やはり修繕計画を基にし、費用を計算することが大切です。
 予算超過の場合、1)臨時徴収 2)銀行から借入れ 3)単独改修部位を集約から切り離す、などの対策があります。
 したがって、修繕積立金を確認することが大切です。

  (5) 工事実施の総会決議、大規模修繕確認申請
    工事の実施は、マンションの総会で承認されてから実行されます。
   長期修繕計画の作成又は変更(見直し)は、総会の決議を経る必要があるからです(標準管理規約第48条)。

    建築基準法第6条により、大規模修繕・模様替えをする場合、「建築確認」を受けなくてはなりません。
      1)共同住宅の場合、用途に供する床面積の合計が100u超
      2)木造大規模建築物の場合
        階数が3以上(地階を含む)、延べ面積が500u超、高さ13m超、軒高9m超 のいずれかに該当する場合
      3)木造以外の大規模建築物の場合
        階数が2以上(地階を含む)、延べ面積が200u超、のいずれかに該当する場合

 マンションの法定耐用年数は、1998年の税制改正で、それ以降の鉄筋コンクリート造の建物では「47年」となっています。
その年数までに3回以上の大規模修繕がありますので、管理組合は、建て替えを考慮にいれ、計画することが必要です。



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posted by Yy at 14:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大規模修繕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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