マンション修繕費用の簡易計算法!!

 主にマンションの修繕費用を簡易に計算する方法を説明しました。

 修繕費用の相場が分からず、困っていませんか?
    <1> 色々調べてたがトータルの金額が分からない
    <2> したがって、予算が組めない
    <3> 面積や長さがを測るのが大変!

 本サイトは、このような人のため、マンション修繕費用を簡易に見積る方法を説明しました。
 そのため、主にマンションの経年劣化の調査・診断と見積りについて説明しました。
理由は、現状をどのように把握して工事計画を立てるかにより、工事内容、工事金額が大きく変化することです。
したがって、予算を有効に使用するため、しっかりした計画を立てることが非常に重要です。

  見積りの仕組みは、実は簡単です。

1.修繕費用の相場

 費用を検討する場合、工事価格の「相場」がわからない人が多いと思います。
積算項目が多いので、数量拾いや価格を見つけるために時間がかかるからです。
また、面積や長さを測定する方法が人によって異なるためです。
その結果、ネットなどを色々調べてみるのですが、同じ建物の価格などありません。
したがって、トータルの金額が分からないので、予算を組めません。

 そのような人のために自分で簡単に見積る方法を説明しました。
 必要なデータは、マンションなどの延べ床面積当たりの価格(円/延べ床u)です。
部位の面積や長さは、延べ床面積に比例するので、簡単に測定できる延べ床単価(円/延べ床u)を使用できます。
「延べ床面積」は、設計図やパンフレットに書かれています。
したがって、電卓で簡単に価格を計算できます。

   修繕費用の相場(円) = 延べ床単価(円/延べ床u)* 延べ床面積(u) 

      ===> 床面積による詳細は、「長期修繕計画ソフト」記事で実際にEXCELにより計算し、説明しました。

 前半で説明しましたように、部位の現状把握が重要です。
現状をどのように把握して工事計画を立てるかにより、工事内容、工事金額が大きく変化するからです。
したがって、予算を有効に使用するため、しっかりした計画を立てることが非常に重要です。

2.修繕費用の見積り作成

 (1) 工事設計について
 マンションなどの経年劣化による工事計画は、建築士が工事設計をします。
この建築士が、劣化した部位を集約し、工事設計により工事仕様書を作成します。
工事に使用する仕上材料の種類や施工方法などを選択します。
見積りの段階で発注者側が仕様書を前もって作成する必要があります。
同じ仕様書を基に合い見積もりし、その後入札などにより施工業者を選ぶからです。

 ポイントをまとめると、次のツリーとなります。

  修繕 ━┳━ 劣化 (「劣化」を点検するにより、全面撤去の必要性を判断できます。)
      ┣━ 集約 (工事周期が近い部位を集約すると、仮設費用を節約できます。)
      ┗━ 仕上材・工法 (建物を長持ちさせるため、最新の材料・工法を選択します。)

 (2) マンションの付属施設の場合
 例外的に、戸建ての付属施設では、小規模工事のため上記のような手順を省くことがあります。
発注者は、工事業者と直接工事請負契約をすることが多く、合い見積もりが行われない場合があります。
 なお、「修繕」の定義については、「修理 修繕」ページで説明しましたので、参照願います。
 次の図は、原状回復方法について、国土交通省のガイドラインを引用したものです。
   

3.マンションの修繕計画の必要性

 (1) 専門知識の必要性
 マンションの管理組合の理事が専門家でない場合、大規模修繕専門員会に作業を委任するのが一般的です。
マンションは構造が複雑なので、「修繕計画」を作成するために専門知識や経験が必要となるからです。
知識の具体的な内容は、後半及び各記事で説明しました。
 しかし、マンションの理事会の役員は、見積りの知識が大変役立つ場面があります。
様々の考えの人が集まるマンションの総会で、皆さんの意見をまとめることが大変重要です。
マンションの住民とのコミュニケーションにおいてこの「修繕計画」を合意形成に役立てることができます。
したがって、管理組合の理事や関係者がこのサイトを参考に、工事費用を算出できることが望まれます。

 (2) マンションの会計は、予算主義
 このページのトップで説明しましたように、工事計画の立て方が費用に大きく影響します。
巨額になる費用は、マンションの規約で予算案として決議するように決められています。
したがって、しっかり現状を把握し、予算の根拠として説明するため、「修繕計画」を作ります。
  ===> 詳細は、「修繕計画」記事を参照願います。

 (3) 修繕積立金の額
 なお、一般的にマンションの工事費用は、数億円に達する場合がありますので、積立を行うのが普通です。
「長期修繕計画」は、この積立金の額の目安を求めるために必要になってきます。
平成23年4月、国土交通省が「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を発表しました。
それによると、区分所有者の毎月の積立金は、床面積1u当たり約200円です。
 床面積80uの居住者の場合、30年間に約576万円を積み立てる結果となります。
100戸のマンション全体の工事費用は、30年間に約5億7600万円となります。
  ===> 参考として、「長期修繕計画ソフト」記事を参照願います。

4.標準的な見積りのポイント

 マンションで直接業者に発注する場合に大切なポイントは、主に次の通りです。
 (1) 調査・診断は、適切に実行出来る経験豊かな専門家に依頼することが大切です。
  修繕工事は新築工事と違い、様々な状況に直面し、適切な対応が要求されるからです。

   なお、特定の部位の工事があった場合、その積算過程の数量データが大変役立ちます。
  積算にかかる時間が大幅に短縮され、費用が軽減されます。
  劣化がマンション全面に広がった場合、大規模修繕の工事になります。
  建築基準法の第2条14項に、「大規模修繕」の用語の定義が明記されています。
    ===> この定義及び調査・診断の詳細は、「大規模修繕」記事を参照願います。

 (2) 工事仕様書の提出を業者に求めることが必要です。
  パンフレットやカタログのコピーではなく、下地処理の方法から詳細に記載されたものが必要です。
  この資料は、施工のチェックに使う大切なものです。

 (3) 仕様書に基づいて積算された見積書の提出を求めることが必要です。

 (4) 合い見積もりで検討して決めることは常識です。
   3社以上の仕様書と見積書を比較検討すると、業者間の違いが金額・仕様・メーカーなどで分かります。
  さらに仕様によって工事金額は、大きく変わります。
  合い見積もりの場合、金額の比較だけではなく、仕様と価格を照らし合わせた検討が大切です。
  仕様書が不十分の工事発注は、 予想した工事が行われないため、不満・トラブルが発生するからです。

5.自分でできる見積り

 前半で説明しましたように、費用を検討する場合、工事価格の「相場」がわからない人が多いと思います。
そのような人のために自分で見積る方法を基本から説明しました。
 (1) 見積りの積算方法
   まず、最も基本的な内容から説明しました。
   1) 面積・長さなどの単価に基づき積算する方法
      建物の部位毎にその面積や長さなどに対応した単価に基づき積算する方法が最も「基本的」です。
    現在行われている工事価格の積算方法は、ほとんどこの積算方法です。
    大規模修繕工事の場合、この方法でないと正確な積算はできません。
      しかし、この方法は、単価そのものが安全率を含めて設計されています。
    したがって、見積り項目が多ければ多いほどその安全部分が積み重なります。
    その計算が合計金額に反映され、結果的に小規模工事では割高となります。
    わずかの工事のために、類似した部位を集約せず、その都度高額の足場を組む状況に似ています。
     なお、価格を設定するために、例えば最新の「積算ポケット版マンションRe」などを利用できます。

   2) 延べ床面積から積算する方法
      マンションなどでは、30年・25年にわたる長期間計画を立てなければなりません。
    この場合を含め、現場の事例を基に、統計的に床面積当たりの単価で費用を割り出す方法があります。
    マンションでは各専有部分は、同様の間取りで設計されている場合、1)で説明した面積・長さなどに床面積が比例するからです。
    多数のマンションの事例を基に、統計的に処理したデータを利用する方法です。
    人件費・材料費から「直接工事費」を求め、利益率を掛けて諸経費を考慮し、見積もり金額を出します。
      実際に、分譲マンションの間取りの約半数は、3LDKです。
    したがって、床面積に価格が比例し、床面積を求めて見積もることができることが理解できます。

   3) 長期修繕計画を基にした積算
      上記のように、30年間の場合、2)の方法がより適切な結果を得ることができます。
    30年後の材料費は、現時点では、正確に見積もれないからです。
    したがって、長期修繕計画の場合、「調査・修繕」が不可能のため、詳細な積算は、無意味です。
    また、消費税が変更になる場合を考えると、長期間の費用を正確に見積もることが不可能のためです。
      ===> 床面積による計算方法の実際について、「長期修繕計画ソフト」記事を参照願います。

 (2) 床面積から積算する例
   マンションの場合、平面図に各階層の床面積が記載されています。
  延べ床面積を基にした計算は、次の通りです。

    【1】仕上げ別単価一覧表から仕上げ材を決めその単価を選び出します。
     その際、仕上げを変更する場合があります。
     例えば、屋根の「保護アスファルト防水」から「塗装防水」へ
     また、バルコニー床を「モルタル塗り」から「ビニール床シート・タイル張り」へ変更できます。

    【2】仕上げ材の単価と延べ床面積を積算します。

      修繕費用の相場(円) = 延べ床単価(円/延べ床u)* 延べ床面積(u) 

       ===> マンションの延べ床単価(円/延べ床u)情報は、「長期修繕計画ソフト」記事を参照願います。

 (3) 費用の見積り範囲
  単価による見積りは、仕様を明確にすることが非常に大切です。
 仕様によって工事金額が変わるからです。
 したがって、見積り範囲、部位別の工事仕様を明確にすることが重要です。
 請負契約で大事なことは、仕上材料・工法を無視した「材料の数量がどれ程で、費用はいくらになるか」ではありません。

  業者が言うように、ポイントは「どこを、どんな内容の工事をして(仕様)、いくらで責任施工するのか」 です。
 調査・診断と工事設計で「部位・仕上材・工法」を明確にすることが非常に重要なのは、このためであることが分かります。
 発注者は、数字に惑わされないで、「積算資料」など調べ、専門家に相談することが必要です。
  ===> 標準的な部位の仕様の考え方は、「長期修繕計画ソフト」記事を参照願います。

   マンション住まいの方、及び管理組合の役員さんが工事費用を見積るとき役立つ情報を説明しました。
       修繕費用、簡易算出法! Home へ